本当の正義とは シャーロック・ホームズ
参照:「法とは」
私はシャーロック・ホームズのファンなのですが、それは単に推理ものが好きだというだけではありません。そしてなぜシャーロック・ホームズが世界でこれほど有名なのでしょうか?
私の理由と世界の理由はシンクロしているでしょうから説明しましょう。
まず、一般的に浅いファンはホームズの「推理力」の魅力を語ることでしょう。次いで、彼がコカイン中毒であったり、バイオリンの名手であったり、個性的であることを挙げるかも知れません。
しかし、私は彼の「正義感」を挙げます。
それは単に悪人を退治するということではなく、仮に犯人が法を犯していても憐れむべき人であったら赦して、見逃してやったり、時にはホームズ自身が必要とあれば法を犯したりするのです。
つまり、彼は人間の作った法を尊重しているのではなく、神の法をちゃんと理解しているということなのです。
例えば、「青い紅玉」という物語では盗みを働いた青年を捕えておきながら、赦してやります。
青年があまりにも悲痛に悔いたからです。
もし法をロボットのように遵守するのであれば、「憐れみ」など非論理的でしょう。しかし、彼は情状酌量の余地があるとみると犯罪者でも許す度量を持っているのです。
また「脅迫者ミルバートン」が最も感動的かも知れません。
当時イギリスには脅迫罪というものがなかったようで、単に脅迫しただけでは罪に問えなかった頃のことです。
依頼を法で取り締まれないと分かっていながらホームズは、倫理的にはそれが罪にあたると考え、脅迫者を個人的に懲らしめようとします。
これも、もしギチギチに法を守るロボットのような冷たい役人だったら(世にはこのような人間は多いのはないだろうか。「法は法だ」などと言って)、「法に触れていないから捕まえないよ」というところですが、彼は被害者の味方になってあげるのです。
現行の法にそれを取り締るものがなくても悪いものは悪いと彼は見たのです。
これは反対も真なりで、たとえ現行の法で有罪でも、本当に悪なのかどうかを人としての心で考えるべきだということもできます。
そして、彼は脅迫者の家に法を犯して家宅侵入することにします。すると目の前で殺人を目撃してしまいます。たまたま居合わせた別の被害者が脅迫者を撃ち殺してしまったのです。
本来なら、そこで犯人を捕らえるべきです。警察ならそうしていたでしょう。どんな理由があれ、殺人は殺人です。しかし、ホームズは犯人の女性を見逃すのです。
もちろん殺人を容認したわけではありせん。
ここに言葉では言い表せないものがあるのです。作者のコナン・ドイルのうまいところです。
このような繊細な問題を提起していること、そしてホームズのやさしさ、これがこの物語を世界的に有名にしているゆえんだと私は思うのです。

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